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商品詳細




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【商品名】
Papilio maackii
ミヤマカラスアゲハAchillides 私論


柳澤通博【著】

【価格】 
\25,000円(税込)
【初版】 2002年12月
【その他】 A4判・函入上製本・200頁・図版64頁
       予約出版 限定380部

※当社では完売いたしました。

 


商品内容・推薦文・書評

 商品紹介
 ミヤマカラスアゲハP.maackii は,なぜかくのごとく変異するのか?
わが国でも北海道産と九州産ではその相異は誰の目にも明らかだが、アジア大陸での変異はさらに複雑多彩な驚くべきものだった。
シナカラスアゲハsyfaniusへ変貌(擬態)していく一方で、中国四川省には祖先還りとしか思えない鮮烈な個体群が棲息していた!
わが国各地域はもとより、世界のmaackiiの変異をすべて図示し、カラスアゲハや他のAchillidesとの関係を通して、この蝶のあまりにも不可思議な変異の謎に迫る著者40余年の業績、ここに集結!

著者よりご挨拶
 Achillidesの研究をいたしております柳澤通博と申します。この度『Papilio maackii ミヤマカラスアゲハAchillides 私論』という本を上梓する運びとなりましたので、ご案内させていただきます。この本は約400枚の論考が主体で、内容は分類や秩序付けというよりも、maackiiがなぜこれほおど複雑多彩に変異するのか、その理由についても考えたもので、過去に類書はないのではないかと思われます。お恥ずかしい話ですが、テーマの大きさに較べて当方の力不足はいかんともしがたく、脱稿までに5年以上の歳月を要してしまいました。しかし、いざ発表しようと思っても、この種の論考を掲載できる雑誌媒体がどこにもありません。それなら単行本として上梓しようかとも考えてみましたが、本書は本文中にカラー図版を任意に多数導入しなければならず、こんな手間とコストがかかる本を刊行できるような版元が現在この国にあるはずもないのです。やむをえず、自分の手で刊行することを決意し、荘子にちなみ木鶏(ぼっけい)書房という版元を新たに創設いたしました。私は過去20余年を出版界で生きてきましたので、本造りはいわば本業です。それならプロの本作りをお見せしようと意気込んで始めてみたのですが、いざ取り掛かってみるとこれもなかなかの難業で、準備に1年近い時間を費やしてしまいました。しかし、本書はその分だけ内容の濃いものになったとひそかに自負しております。僭越ではございますが、ぜひ皆様方にお読みいただいて忌憚のないご意見ご感想をお聞かせいただければ幸いと存じます。

本書の内容
序章 P.maackii への旅立ち
     *     *
1 maackii & bianorⅠ ――地理的変異の原因について
2 maackii & bianorⅡ ――分布の究極とclineの断絶
3 maackii & syfanius ――擬態と祖先還り
4 maackii & Achillides ――その継起関係と総括

本書「後記より」
 しかし、すでにお気付きの方もあるかと思うが、こうした出版のいちばんの難しさは、その対象となる読者をどう想定するのかという問題にある。私はできるかぎり多くの方に読んでいただきたいと考え、なるべく広範囲の読者の顔を思い浮かべながら書いたつもりでいるのだが、内容が内容だけに、いわば本の方が勝手に読者を限定してしてしまう。やむをえず私はその数を380部に絞った。当初は300部と考えてもみたが、これではいささか寂しい気もするので、願望を加味して80部を追加することにした。maackii好きな蝶愛好家の方も決して少なくないはずで、その中から厳選された380人の読者の方となら、心を分かつことができるかもしれないと考えてみたのである。その結果、当方の思いに反して、高価な本になってしまったことをお許しいただきたい。限定番号と検印はせめてものお詫びのしるしである。いずれもっと安価でより多くの読者に提供できる日がくることを願ってやまない。

推薦文  随所に鋭利な指摘 福岡正夫 ~慶應義塾大学名誉教授~
 ミヤマカラスアゲハを軸にアキリデス群の諸問題を論じた柳澤さんの労作がいよいよ刊行の運びとなった。同様なテーマに浅からぬ関心を持つ私にとっても、本書の出版はまことに大きな喜びである。ミヤマカラスアゲハの分布と地理的変異、とりわけ中国における複雑きわまりないその様相が、多数の標本写真や成因にかかわる仮説とともに、これほど詳細に提示されるのはおそらく初めてのことであろう。本書がもたらすさまざまな新知見の中でも最も刮目すべきは、シファニウス型の本種の棲息地といくらも離れていない同一の環境下に北海道産と見紛うばかりの青緑帯を持つ個体群が見出されているという事実である。「これにはほとんどわが眼を疑うほど驚いた」と著者は語っているが、私もまったく同感である。そのほか、黒化したシファニウス型と白紋型とは亜種として分けるべきではなくクラインとみなすべきであるとか、カラスアゲハの八重山亜種はタカサゴとではなくむしろディアリスとの縁故を考えるべきであるとか、本書には随所に鋭利な指摘がちりばめられており、大変興味深い。アキリデス・グループ愛好家の方々に是非必読をお薦めする次第である。

推薦文  思考の一大成果 大野義昭 ~日本蝶類学会理事~
 今から約100年前、イタリアの蝶類学者ルッジェロ・ヴィリティは自らの大図鑑『旧北区の蝶類』の中で初めて蝶に地理的な変異があることを美しい原色図で図示した。これがその後の蝶類研究の一大潮流となり、私たちに蝶研究の面白さ、収集することの楽しさを教えることとなった。20世紀はいわば“ヴィリティの時代”だったといえ、21世紀に入った今もその追求は続いている。日本も1970年代後半になって東南アジアの蝶を中心に世界各地や細部の地域のものがものすごい勢いで入りはじめ、1980年代から90年代初めまでには、ついに憧れの中国の蝶も各種もたらされピークに達する。このような状況下のもと、多くの蝶研究家や愛好者たちは自らの家のスペースを考えつつ、ある特定の蝶の種類、その近縁種、亜種、地理的変異種、あるいは行政地域的な集め方をすることとなる。柳澤さんの今回の本はミヤマカラスアゲハの近縁種――ドイツのヤコブ・ヒューブナーがこの一群を“アキリーデス”と命名した――をずっと集め続けて考えてきた一大成果の一端である。蝶を集めているとこんなに素晴らしいことが考えられるのだということをこの本は教えてくれる。

推薦文  推理小説の謎解きを読む魅力 三木卓 ~詩人・小説家~
 豪奢で神秘をはらんだミヤマカラスアゲハ。出会えば、見るものの心臓をつかんで、決して離そうとしない蝶。
 ミヤマカラスアゲハにとことん見せられた柳澤さん。かれはこの二十年を、執筆だけでも五年余りの時間を、この蝶ひとすじに捧げた。雄大なアジアの時空を舞台にして、かれらがどこにあらわれ、気象の変化や大陸の変化、あるいは近縁種からの支配を身に受けながらどのような展開をとげたかを、驚くほど多様な変異を示すに至った現状分布から、ひとつひとつ推理していく。ここには輝く夢も、さながら推理小説の謎解きを読む魅力もあった。
 かつてぼくが、柳澤さんが勤務していた出版社から昆虫のエッセイの本を出してもらったことがあった。本ができたとき柳澤さんがその本を手にしながら、「おれは、焼けぼっくいに火がつきそうだ」とつぶやいたことを、ぼくは忘れない。
 以来二十余年、昆虫少年柳澤さんは本格派として登場、このような構想雄大な夢を描くにいたった。あの小さなエッセイ集が、もしかしたらその大復活のきっかけかと思うと、これはうれしいことであり、また恐ろしいことだ。
 柳澤さんの渾身の力作。よくもがんばったと思う。どうか読んで下さい。

書評  「ショーパラーク会報」 北原英男 2003年1月
 著者が国内1~2を競った豊富なアキリデスのコレクションを基に研究調査に5年を経て仕上げた力作、処女作品です。道楽から始め次第に全財産をつぎ込み無い標本は無いと言われた充実したアキリデスの標本。アキリデスの泥沼にどっぷりと首までつかり典型的な虫屋の生き方をした著者がそれを今回の本の中に豪放繊細に虫屋独特のエネルギーを傾けて書き上げた本です。具体的に中身は著者の思い入れをしたミヤマカラスの持論を豊富な分類学の博識と類い稀な推理力で虫屋の世界では珍しく文学的に書き上げたのが特徴です。また読んだ後に凄いエネルギーを感じさせられるのと同時に爽やかな感じが残るのが面白いところで良いところです。本に載っているアキリデスの標本写真も充実しており見ごたえ十分です。きっとみなさんの要望を十分に満足させてくれることと思います。論より証拠です。まずは読まれることをお薦めする虫屋必読の一冊です。

書評  「月刊 むし」 猪又敏男 2003年4月 第386号
 著者は、ミヤマカラスアゲハを中心とするカラスアゲハ群Achillidesに造詣の深いアマチュア蝶類研究家。本書で、自らのコレクションの中核をなすミヤマカラスアゲハについて、その変異の様相を詳細に解析している。
 日本のミヤマカラスアゲハの変異はもとより、大陸における変異もしっかりと把握されており、巧みな文章と豊富な原色図から、ひとつの種を追求することの重要性と難しさが伝わってくる。
 ミヤマカラスアゲハが各地で変貌をみせる背景には、侵入(進出)経路の問題、生態(擬態や遺伝)的変化が介在し、とても一筋縄ではいかないことを熟知しながら、著者はこれに果敢に挑戦している。こんな著者の意気込みは、好感をもって受け入れられるであろう。ミヤマカラスアゲハだけでは満足のゆく解釈が導き出せないことを重視した著者は、近縁であり多くが同所的に見られるカラスアゲハの実体も類推し、はてはカラスアゲハ群全体の種分化にまで話は及んでいる。そこには、斬新な指摘の数々があり、本書のもつ有用性の一端を形成している。最新の科学的知見と著者の記述のあいだには少なからぬギャップがあるが、著者の動物分類に接する態度には共鳴するところが多い。

書評  「TSUISO」 西山保典 2003年1月 第1087号
 柳澤通博著の「ミヤマカラスアゲハ Achillides 私論」という本が出版された。
 25,000円 380部の限定出版 木鶏書房
 蝶わずか1種で立派な本にしてしまうところがおそろしい。

私信  白水隆 2004年元旦
 御年賀状有難うございました。
貴著『ミヤマカラスアゲハ』はすでに通読、問題点を時々見直しています。すごい本としか言いようがありません。
成程という点が大部分ですが、私になっとくできぬ点もあります。
「月刊むし」の年評に当然出すべきものですが、昨年でやめる事にしましたので、書けぬのは惜しいです。

 

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